小児科あれこれ

2006年11月20日

第16回 日本外来小児科学会に参加して

(横浜国際会議場 2006年9月2日~3日)
テーマ「進めよう!協働の輪 育てよう!探求の芽 吹かせよう!小児医療の風」

内容

アスペルガー症候群の医療機関への受診経路と主訴、行動評価についての検討
成田 綾(医)

発達障害児への早期介入は障害受容や二次障害防止の点で重要である。乳幼児では多動、学童では対人関係能力の低下を主訴とし、それ以外の著しい発達の遅れがないため、就学後の受診 が80%となる。自主受診は7~8歳が多く、紹介受診は9歳が多い。全例に、不器用・協調運動障害・感覚過敏が認められる。

テレビがつくる言葉の遅れ
片岡直樹(医)

長時間のテレビ漬けで人と人との応答的環境が失われた赤ちゃんがコミュニケーション障害を起こしている。
一日中テレビをつけている家庭が平均して5軒に1軒あり、その動機は親にもない。つけっ放しにしている家庭で、10人に1人の割合でサイレントベビーができている。気がつくと子どもに表情や言葉がない。1歳までに見つけると100%治るが、2歳になると難しい。重症の場合には生涯言葉がでないこともある。
 大人が子どもと向き合って感覚神経(入力)・運動神経(出力)が連動するボール、ひもなどの運動遊びが基本的な認知体験を育てる。“いない いない ばー!”も効果的な遊びである。

いまどきの子育て、何が問題?何がどう変わったの?
大豆生田 啓友

子育て環境の変化 「サザエさん」時代の子育て・・・タラちゃんは大家族、地域で育てられている。 「ドラエもん」時代の子育て・・・異年齢の子どもたちが一緒に遊ぶ場所があった。 現在の子育て・・・

  • 少子化と子育ての孤立化
  • 子育ての外注化、コンビニ化
  • 物の豊かな時代⇒愛情が伝わりにくい時代

母親へのアンケートから

  • 出産前に子どもの世話の経験がない(56%)
  • 近所で世間話や赤ちゃんの相談ができる人がいない(4ヶ月児の母で34.8%)
  • 虐待しているのではないかと思うことがある(18.1%)
    子育て中の親が一番気がかりなこと・・・圧倒的第1位「犯罪や事故」⇒外に出せない。家に閉じこもる。

母親の叫び

  1. 一人でトイレや風呂に入りたい
  2. 夜泣きの毎日に疲れる
  3. 毎日、子どもに「イヤ!」と言われて・・・・
  4. うちの子、遅れてない?!
  5. 夫の帰りが遅い、もっとわかって!
  6. 姑と子育ての方針が合わない
  7. 子育て仲間がつくれない(公園に大人がいない)
  8. 誰か分かって!!

今、求められる子育て支援とは「支え合い、育ち合いの子育て支援」

  • 親子関係、家族関係の支援を
  • 親子のネットワーク構成への支援
  • ふらっと寄れる居場所が大切
  • 早く帰宅できる職場環境づくりを
  • 「わかってくれる誰か」がいるかが大切

口から育つこころと身体 -新生児から小児までの子育ち支援-
佐々木 洋

  1. 乳児期は哺乳による満腹感とだっこされる幸福感から基本的な信頼感ができてくるので赤ちゃんの顔を見て授乳しましょう。
    (テレビOFFのほか携帯電話もOFFに)
  2. オシャブリよりもママの語りかけが大切です。
    (平成16年頃から自分の指しゃぶりが減り、玩具のおしゃぶりが増えている)
  3. よだれは飲み込み機能の開始サイン、離乳食をゴックンすることを覚えさせましょう。
    (スプーンを下唇に置き、赤ちゃんが手づかみで口に取り込むのを待つ。その後スプーンを抜く)
  4. 乳歯のはえる時期がが12ヶ月以降の場合は調べてもらいましょう。
    (乳歯のけがによる色の変化は一年でよくなる。歯磨きは気持ちがいいので、歯ブラシで頬、首、くちびるをタッチしてやる。こどもに親の歯を磨かせてみるなど楽しい雰囲気づくりを心がける)

元気な子どもは遊んで食べてしっかり眠る
神山 潤

ヒトは寝て食べて、初めて活動が可能な動物である。しっかり食べ、しっかり活動すれば、しっかり眠れる。最初の深い眠りで成長ホルモンが出て、起床後15~16時間たって暗くなるとメラトニンがでる。また、最高体温の後に寝入り、最低体温の後に目が覚める。睡眠と覚醒は、ホルモンや体温と深い関わりがある。

【遅寝遅起きの弊害】

  • 寝不足になる。
  • 遅起きが朝食抜きになりやすい。
  • 生涯のうち1~5歳のときに多く分泌されるメラトニンが、遅寝や明るい夜の環境によって分泌が減少する。
  • 生体リズムの乱れから疲労しやすく、食欲・集中力が低下する。
    (体内時計のリセットには朝の光が有効)
  • 日中の運動量の低下がセロトニンの分泌を減少させ、イライラなど感情コントロールが困難になる。
メラトニンとは
  • 抗酸化作用⇒酸素の毒性から細胞を守る働き⇒老化防止
  • 催眠作用あるいはリズム調整作用がある
  • 性的な成熟の抑制作用がある
  • メラトニンは光によって分泌が抑えられる
セロトニンとは
  • セロトニンは脳内の神経活動の微妙なバランスを維持し、リズミカルな筋肉運動によって分泌を高める

ワークショップ「子どもの睡眠障害」
リーダー 荻野 高敏

【幼児期の睡眠と関連する問題】

  • 肥満、血圧があがる、不定愁訴、情緒不安定、不登校になりやすい

【睡眠パターンの特性】

  • 日中の活動量が多いとよく眠れる
  • 夜の睡眠に影響がない程度の午睡はOK(午睡は個人差がある)
  • 小さいときにきちんとしたリズムで育つと、大人になって乱れても直りやすい

【発達障害児と睡眠】

  • 生後3ヶ月くらいから出始めるので、昼間の運動を多く取り入れるようにする。

公開シンポジウム「子どもの心と医療」

子どもたちの未来は明るい
鈴木 光司(作家)

愛情をたっぷりかけて子育てした。子育て中に相談できる相手がいたので安心して自信をもって育児ができた。
パートナーの一言や理解が子育てパワーを増減させる。

  • あなたのおかげで安心して働ける(ストレス1/4)
  • わたしが一家の大黒柱よ!(ストレス×2)

男の子は10歳のとき夢中になっていたことがモチベーションとなり、生涯続ける。こころの持ち様で暗くも明るくもなる。ならば明るく!

「いい子疲れ」していませんか? 自分らしく育つ権利を考える
喜多 明人(早大教授)

子どもは大人の期待通りにいい子作りをして‘いい子疲れ’をしている。周りから期待される自分をつくり、自分を見失っている子どもがいる。休息を切実に求めている。
子どもが自分の力でアイデンティティーを確立していくために、大人は子どもに寄り添いあるいは向き合って受け入れていく(子どもの自己形成権)。

親子の居場所における情報交換の可能性
松岡 美子(NPO法人理事長)

引越しや転入で地域に地縁・血縁のない子育て中の親の声

  • 小児科がどこにありどんな先生なのか、また、急な病気やケガをしたときどうすればいいか相談できる人がほしい
  • 親子が自由に集える居場所がほしい

その居場所に子育て中の親や先輩の方、学生などが入ってそれぞれの立場で情報を提供し、母親の不安を解消する。子育ては親だけでなく、社会全体で考えていく。

病児保育室見学

感染症にかかった子を1日目から預かるというシステムです。仕事を休めないお母さんが預けるケースが大半なのですが、お父さん・お母さんが一人で病児と関わるのが不安だという場合も預かってサポートします。予想される症状と対策を教え、状態がおちついていれば沐浴も行います。
こんな病児保育室が高岡にもできればいいと思いました。また、絶えず笑顔でなごませてくれる保育士さんには大変感心しました。

ワークショップ「受付・事務」

情報交換で他のクリニックの受付風景を伺い知ることができた。不安を感じながら来院される患者さんへの言葉がけが大切であり、そのために常に院内にアンテナを張り巡らすことを忘れてはならないと思う。ひとり一人に合わせたサービス、多様なニーズに応えたい。掲示物等で医院の姿勢を明確にすることも大切。
最初に患者さんに出会ったときに危急症かどうかを第一印象・直感で判断する力を磨き、迅速な対応を心がけたい。また、忙しさに気を取られることなく、よく見、よく聞き、よく触れる工夫をして重要なサインの見落としを防ぐよう心がけたい。

手作り玩具(ペットボトルを活用)

ペットボトルを使用した手作り玩具の写真

外来小児科学会に参加した当院看護師の手による手作り玩具。体重・身長測定を嫌がる子どもに カラフルなペットボトルをかざし、目を奪われている瞬間にうまく測定する。点滴をするときも活躍する。

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